酒ディプロマ二次試験テイスティング完全ガイド|外観・香り・味わいの評価軸とコメント用紙の書き方
この記事を監修
平沼柊哉
酒学道場 代表・J.S.A.正会員
この記事の結論
- 二次試験は日本酒2〜3アイテム + その他酒類1アイテム。約30分で外観・香り・味わい・特定名称を選択する形式
- 評価は「銘柄当て」ではなく「選択肢用紙を妥当な表現で埋める」試験。相対評価の感覚を身につけることが最優先
- 外観(色調・粘性)、香り(第1〜第3アロマ)、味わい(甘味・酸味・余韻)の3軸で必ず分けて評価する
- 特定名称の識別は「吟醸香の有無」「米の旨味の厚み」「アルコール添加の軽やかさ」の3パターンで判断
- 第3アイテムは焼酎6種(芋・麦・米・黒糖・そば・泡盛)の香りを徹底的に体に覚え込ませる
- 論述と合算評価のため、テイスティングで完璧を狙うより外さない選択を重ねることが合格への近道
酒ディプロマ一次試験を突破した先に待つ、二次試験のテイスティング。多くの受験者が**「銘柄を当てなければいけないのでは」と過剰に身構えます。しかし二次試験は銘柄当てではなく選択肢試験**。仕組みを正しく理解して、外さない選択を積み重ねることが合格への最短ルートです。
この記事では、二次試験テイスティングの形式・評価軸・コメント用紙の書き方・特定名称の識別・第3アイテム対策を、合格ラインに乗せるために必要な実践ノウハウとして体系的に整理します。
この記事の対象読者
- 一次試験を突破し、これから二次試験対策を始める方
- 「テイスティングは独学では無理」と不安を感じている方
- コメント用紙の書き方が分からず練習に手をつけられない方
- 第3アイテム(焼酎・泡盛)の対策を効率化したい方
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二次試験テイスティングの全体像
試験形式と配点
J.S.A. SAKE DIPLOMA 二次試験は、毎年9月下旬〜10月上旬に実施されます。試験時間は約50分で、内訳は以下の通りです。
| 項目 | 時間 | 内容 |
|---|---|---|
| テイスティング | 約30分 | 4アイテム前後 |
| 論述 | 約20分 | 2〜3問(各200字以内) |
テイスティングの出題構成は、日本酒2〜3アイテム + その他の酒類(焼酎・泡盛など)1アイテムが基本です。
評価は銘柄ではなく選択肢
二次試験はマークシート形式で、専用のコメント用紙の選択肢から該当するものをマークしていきます。
重要なのは、銘柄を当てる必要はないということ。「純米大吟醸・山田錦・香りは華やか系」といった特徴を正しく選択できれば得点できます。過度に品種や蔵元を当てようとせず、妥当な選択肢を埋めることに集中してください。
コメント用紙の3軸を理解する
コメント用紙は大きく外観・香り・味わいの3セクションに分かれています。この順番は実際のテイスティング手順と同じで、ひとつずつ確実に進めていくことが重要です。

外観:色調・濃淡・粘性
外観では以下の項目を評価します。
- 色調: 無色、透明、淡いイエロー、イエロー、黄金色、琥珀色
- 濃淡: 澄んだ、光沢のある、深みのある
- 粘性: さらっとした、中程度、とろみのある
ポイント: 一般的な純米酒・本醸造酒は「淡いイエロー」「透明感のある」が基本。熟成酒や古酒に近づくほど黄金色・琥珀色へとシフトします。吟醸系は色が淡く、純米系はやや濃くなる傾向があります。
香り:第1〜第3アロマの3段階
香りは3つの段階で評価します。
| 段階 | 内容 | 代表的な表現 |
|---|---|---|
| 第1アロマ | 原料由来 | 米、穀物、麹 |
| 第2アロマ | 発酵由来 | バナナ、メロン、リンゴ(吟醸香) |
| 第3アロマ | 熟成由来 | ナッツ、カラメル、ドライフルーツ |
**吟醸香(第2アロマ)**は酢酸イソアミル(バナナ系)とカプロン酸エチル(メロン・リンゴ系)に分かれます。吟醸酒の香りの中心はこの2つ。純米酒や本醸造酒の第2アロマは控えめです。
味わい:アタック・甘酸のバランス・余韻
味わいでは以下を評価します。
- アタック: 軽い、やや軽い、中程度、やや強い、強い
- 甘味: 弱い、やや弱い、中程度、やや強い、強い
- 酸味: 弱い、やや弱い、中程度、やや強い、強い
- 旨味: 弱い、やや弱い、中程度、やや強い、強い
- 余韻: 短い、やや短い、中程度、やや長い、長い
ポイント: 甘味・酸味・旨味は相対評価です。4アイテムを飲み比べて相対的な強弱を判断します。1本だけ飲んで「これは甘い」と決めつけず、他アイテムとの比較で判断する癖をつけましょう。
特定名称の識別ポイント
二次試験で**「これは純米大吟醸」などの特定名称を推定する**項目は、配点の大きな山場です。主要パターンを押さえておきます。

大吟醸・吟醸系(精米歩合50%以下)
- 外観: 無色〜淡いイエロー、透明感が高い
- 香り: 華やかな吟醸香(バナナ・メロン・リンゴ系)が中心
- 味わい: 軽やかで繊細、キレが良い
- 識別のコツ: グラスを回した瞬間に吟醸香が立ち上がるかどうか
純米系(アル添なし)
- 外観: 淡いイエロー〜イエロー
- 香り: 米由来の穀物感、控えめな吟醸香
- 味わい: ふくよかな旨味、コク、やや厚みのある口当たり
- 識別のコツ: 口に含んだときの「米の甘味と旨味のボリューム感」
本醸造系(アル添あり)
- 外観: 淡いイエロー
- 香り: 控えめで穏やか
- 味わい: 軽やかでスッキリ、キレが良い
- 識別のコツ: アタックが軽く、後味が素早く引く
特別純米・特別本醸造
- 通常の純米・本醸造より精米歩合が高い(60%以下)か、特別な製法を使用
- 吟醸系ほどではないが、通常よりも華やかさや繊細さがある
古酒・長期熟成酒
- 外観: 黄金色〜琥珀色
- 香り: ナッツ、カラメル、ドライフルーツ、醤油様の熟成香
- 味わい: 複雑で濃厚、独特の苦味
識別の3ステップ
- まず吟醸香の有無で大吟醸・吟醸系かどうかを判断
- 次に旨味の厚みで純米か本醸造かを判断
- 外観の濃さ・熟成香の有無で古酒系かどうかを判断
第3アイテム(焼酎・泡盛)対策
近年の二次試験では、焼酎・泡盛が第3アイテムで頻出しています。ここで外さないための対策を整理します。

頻出6種の特徴
| 種類 | 香りの特徴 | 識別ポイント |
|---|---|---|
| 芋焼酎 | 華やかで甘い、バラ様の香り | 最もわかりやすい華やかさ |
| 麦焼酎 | 香ばしい穀物、軽やか | クセが少ない→迷ったら麦 |
| 米焼酎 | 日本酒に近い穏やかな香り | 日本酒と混同しやすい |
| 黒糖焼酎 | 甘く濃厚、ラム酒に近い | 砂糖菓子様の甘い香り |
| そば焼酎 | 軽く穀物感、微かにそば | 識別難度高、知識で補う |
| 泡盛 | 重厚で独特の熟成香 | 黒麹由来の力強さ |
対策の実践方法
- 最低6種類の焼酎を1本ずつ用意し、1種類ずつ嗅覚に刻み込む
- 試験2〜3週間前から、毎日1〜2種類を飲み比べる
- 香りを自分の言葉で記録する(例:「芋=華やかでアンズのような甘さ」)
- 米焼酎と日本酒の識別は、蒸留酒特有のアルコール感で見分ける
焼酎の基本問題は一次の知識で解ける
焼酎の原料や産地を問う選択肢は、一次試験で学習した知識がそのまま使えます。テイスティングで原料推定ができれば、産地や麹の選択肢も芋焼酎=鹿児島・白麹が主流、という具合に連動して正解できます。
コメント用紙を埋めるときの5つのルール
実際の試験で時間内に用紙を埋めるための実践ルールです。
1. 選択肢は複数選んでOK
多くの項目で「該当する選択肢をすべてマーク」する形式です。1つに絞ろうとせず、該当しそうなものを2〜3個選ぶのが安全な戦略です。
2. 極端な選択肢は避ける
特殊な表現(「強すぎる酸味」「独特の異臭」など)は、よほど明確でない限り選ばないのが無難です。真ん中寄りの評価で揃えると大きく外しません。
3. 典型例からズレすぎない
「純米大吟醸なのに全項目が濃厚・熟成系」のような組み合わせは、論理的に矛盾します。特定名称を決めたら、それに整合する選択肢で揃えることを意識します。
4. 時間配分を徹底する
30分で4アイテムなら1アイテムあたり7分。7分を超えそうなら次に進む。全アイテムを埋めることが最優先です。
5. 最初の直感を信じる
テイスティングでは、繰り返し嗅ぐほど香りが鈍くなります。最初の5秒で感じたことが最も正確。迷ったら最初の直感を記入します。
独学でテイスティング対策を進める手順
ステップ1: 練習セットを揃える
- 純米大吟醸、純米吟醸、純米、本醸造、熟成酒の5本
- 芋・麦・米・黒糖・そば焼酎と泡盛の6本
- 合計11本を用意できれば独学対策として十分
ステップ2: コメント用紙をコピーして使う
J.S.A.公式の過去のコメント用紙フォーマットは入手できます。これを印刷し、1本テイスティングするたびに記入する練習を繰り返します。
ステップ3: 相対評価の訓練
単独で飲むのではなく、必ず2〜3本を並べて飲み比べる。相対評価の感覚は短期間では身につかないので、試験1ヶ月前から意識的に訓練します。
ステップ4: 論述と並行して進める
テイスティング単体の完璧主義に陥らず、論述対策と並行することが合格への近道です。テイスティングで外さない、論述で得点する、この組み合わせが現実的な勝ちパターンです。
本番当日の持ち物と注意点
持ち物
- 受験票
- 筆記用具(シャープペンシル、消しゴム)
- 黒無地の水(口直し用、会場により提供あり)
- マスク(香りに干渉しない無香料)
当日の注意
- 朝食は匂いの強い食べ物を避ける(コーヒー、香辛料、ハーブ系)
- 香水・整髪料はつけない
- ハンドクリームも無香料を選ぶ
- 水分を適度にとって口腔内のコンディションを整える
まとめ
二次試験テイスティングで合格ラインに乗せるポイントを整理します。
- テイスティングは銘柄当てではなく選択肢試験。妥当な選択を重ねる意識が最優先
- 外観・香り・味わいの3軸を毎回同じ手順で評価する
- 特定名称は吟醸香・旨味・アルコール感の3軸で識別
- 第3アイテムは焼酎6種の香りを体に覚え込ませる
- コメント用紙は複数選択・真ん中寄り・典型例から外れない・時間配分の4原則
- 論述と合算評価のため、テイスティングは外さず論述で稼ぐ戦略
酒学道場では、一次試験対策の問題演習に加え、二次試験の論述対策問題も用意しています。無料で二次試験対策も体験できます。
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📝 更新履歴
- 2026年4月20日:初版公開
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