日本酒の資格を比較【2026年版】唎酒師・SAKE DIPLOMA・日本酒検定を5年総額と難易度で選び分ける
この記事の結論
- 日本酒の資格は主催団体で2系統。SSI系(唎酒師・日本酒検定など)とJ.S.A.系(SAKE DIPLOMA)
- 選ぶときの分かれ目は難易度より費用の構造。唎酒師は年会費15,400円が毎年、SAKE DIPLOMAは更新費用なし
- 5年総額はSAKE DIPLOMA約5.4万円、唎酒師約19万円、日本酒検定3級4,650円
- 合格率が公表されているのはSAKE DIPLOMAのみ。2024年度は38.7%で、日本酒の資格では最難関
- 「日本酒ソムリエ」という名称の資格は存在しない。実在するのは唎酒師とSAKE DIPLOMA
- テイスティングを避けたいなら日本酒検定、仕事で使うなら唎酒師かSAKE DIPLOMA
この記事を監修
平沼柊哉
酒学道場 代表・J.S.A.正会員
日本酒の資格を調べ始めると、唎酒師、SAKE DIPLOMA、日本酒検定、酒匠、日本酒学講師と名前が次々に出てきて、どれがどう違うのか分からなくなります。
比較記事の多くは「難易度」と「受験料」を並べて終わります。ただ実際に選ぶときにいちばん効いてくるのは、そこではありません。取得後に毎年お金がかかるかどうかです。この一点で、同じような資格に見える2つの間に十数万円の差が生まれます。
この記事の対象読者
- 日本酒の資格を取りたいが、どれを選べばいいか決めきれていない方
- 唎酒師とSAKE DIPLOMAの違いを、費用まで含めて把握したい方
- テイスティングなしで知識を証明できる資格を探している方
日本酒の資格は2つの系統に分かれる
まず全体像です。主要な資格はすべて、2つの団体のどちらかが認定しています。

SSI(日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会) は、唎酒師を中心に据えた団体です。唎酒師の有資格者は40,000名を超え、日本酒の資格としては最も人数が多い。上位に酒匠、指導者向けに日本酒学講師、知識指標として日本酒検定を置く階層構造になっています。
J.S.A.(一般社団法人日本ソムリエ協会) は、ワインのソムリエ試験を運営してきた団体です。2017年に日本酒・焼酎の呼称資格としてSAKE DIPLOMAを新設しました。ワイン資格で培った試験運営の型がそのまま持ち込まれており、一次試験のCBT方式や二次試験のテイスティングという構成はソムリエ試験と共通しています。
系統が違うと、資格の設計思想も変わります。SSIは講習を受けて認定に至る「教育型」、J.S.A.は独学でも受験できる「試験型」。この違いが、次に見る費用の構造にそのまま出てきます。
主要4資格の比較表
| 項目 | SAKE DIPLOMA | 唎酒師 | 日本酒検定3級 | 酒匠 |
|---|---|---|---|---|
| 主催 | J.S.A. | SSI | SSI | SSI |
| 受験資格 | 20歳以上 | 20歳以上 | 20歳以上 | 唎酒師など有資格者 |
| 講習の受講 | 不要 | 必須(コース制) | 不要 | 必須 |
| テイスティング | あり | あり | なし | あり(高度) |
| 初年度費用の目安 | 約53,850円 | 約129,800円〜 | 4,650円 | 約20万円〜 |
| 2年目以降 | なし | 年15,400円 | なし | 年15,400円 |
| 合格率 | 38.7%(2024年度) | 非公表 | 非公表 | 非公表 |
金額はいずれも税込で、SAKE DIPLOMAは一般(非会員)が一次試験を1回受験する場合、唎酒師はeラーニングコースを選んだ場合の目安です。
費用は「初年度」ではなく5年で比べる
比較表の数字を5年に伸ばすと、印象が変わります。

| 初年度 | 5年後の累計 | |
|---|---|---|
| SAKE DIPLOMA(一般) | 53,850円 | 53,850円 |
| 唎酒師(eラーニング) | 129,800円 | 191,400円 |
| 日本酒検定3級(CBT) | 4,650円 | 4,650円 |
差が開く理由は年会費です。唎酒師はSSIの会員資格と認定が結びついているため、認定を維持する限り年会費15,400円が毎年かかります。5年で61,600円、10年なら約14万円が上乗せされる計算です。
SAKE DIPLOMAは受験料と認定登録料を払い切りで、更新手続きも年会費もありません。初年度で見れば約2.4倍の差ですが、5年では約3.5倍まで広がります。
内訳も見ておきます。唎酒師の費用は受講料と認定諸費用の二階建てで、受講料はコースによって59,400円から99,000円まで幅があります。認定諸費用は一律60,500円(認定料25,300円・入会金19,800円・初年度年会費15,400円)。合計すると約12万〜16万円になります。
SAKE DIPLOMAは受験料が一般32,900円(一次試験1回)、J.S.A.正会員なら23,700円。合格後に認定登録料20,950円を納めて認定されます。
なお、費用の高さがそのまま質の低さを意味するわけではありません。唎酒師の受講料には教材と講習が含まれており、独学の負担を金銭で軽くする設計です。独学に時間を使えるならSAKE DIPLOMA、時間を買いたいなら唎酒師という読み替えができます。
「日本酒ソムリエ」という資格は存在しない
検索でよく見かける「日本酒ソムリエ」は、資格の正式名称ではありません。該当する資格を探しているなら、唎酒師とSAKE DIPLOMAの2つが答えになります。

SSIは唎酒師を「日本酒のソムリエに相当する資格」と位置づけて広報しており、この表現が通称として定着しました。一方J.S.A.のSAKE DIPLOMAは、ソムリエ試験と同じ団体が運営する日本酒版という関係から、同じく「日本酒のソムリエ」と紹介されることがあります。
つまり「日本酒ソムリエになりたい」という目的は、どちらを選んでも果たせます。名称ではなく、費用構造とテイスティング対策の負担で選んでください。
難易度で並べると、SAKE DIPLOMAが最上位
合格率を公表しているのはSAKE DIPLOMAだけです。まずその推移を見ます。

| 年度 | 最終合格率 |
|---|---|
| 2020年度 | 44.2% |
| 2021年度 | 44.4% |
| 2022年度 | 42.7% |
| 2023年度 | 35.2% |
| 2024年度 | 38.7% |
2023年度に一段下がって、35〜38%台で落ち着いた形です。2024年度の内訳は一次57.2%、二次63.4%。一次で4割強が落ち、通過者のうち3割強が二次で落ちる構成になっています。初学者の学習時間は150〜200時間が目安とされます。
唎酒師の合格率は公表されていません。ただし受験型と履修型のコースが用意され、履修型は課題提出を重ねて認定に進む設計になっているため、講習をきちんとこなせば認定まで到達しやすい制度だと考えられます。難易度で他と比べる性格の資格ではありません。
日本酒検定は級位で段階が分かれ、合格基準は3〜5級が正答率70%以上、2級が75%以上、準1級が80%以上、1級が85%以上です。5級・4級はネット検定で随時受験でき、3級と2級はCBT方式なら好きなタイミングで受けられます。2級以上は下位級の合格が受験条件になるため、1級を目指す場合は複数年かけて段を上がる形になります。
目的別の選び方
ここまでの整理を、判断の順序に組み替えます。

仕事で日本酒に関わっていて、名刺や職務経歴書に書ける肩書きが欲しい場合は、唎酒師かSAKE DIPLOMAです。業界内の認知度はどちらも十分にあります。勤務先がSSIの講習費用を負担してくれるなら唎酒師、自費で取るならSAKE DIPLOMAのほうが総額を抑えられます。
体系的な知識を自分のペースで身につけたい場合はSAKE DIPLOMAが向きます。講習の日程に縛られず、独学で受験できるためです。教本と問題演習だけで完結する形なので、社会人が仕事の合間に進めやすい。
テイスティングを避けたい、まずは軽く試したいという場合は日本酒検定3級です。4,650円でCBT方式、20歳以上なら誰でも受験できます。ここで日本酒の学習が面白いと感じたら、上位級かSAKE DIPLOMAへ進む道が開けます。
指導者として教える立場を目指すなら日本酒学講師、テイスティング能力を極めたいなら酒匠ですが、どちらも唎酒師などの有資格者であることが前提です。まずは入口の資格を決めるところから始めてください。
上位資格と、それ以外の選択肢
入口の資格を取ったあとの道も、簡単に触れておきます。ここは選択の分岐が少ないので短く済みます。
SSI系では、唎酒師の上に酒匠(さかしょう)があります。テイスティング能力を専門的に高める位置づけで、受験には唎酒師などの有資格者であることが必要です。費用は20万円台からで、日本酒の資格としては最も高額な部類に入ります。教える立場を目指すなら日本酒学講師があり、2024年5月末時点の認定者は625名。人数から見て、狭い門です。
J.S.A.系では、SAKE DIPLOMAの上位としてSAKE DIPLOMA EXCELLENCEが設けられています。また海外向けに英語で実施されるSAKE DIPLOMA INTERNATIONALもあり、輸出や訪日客対応に関わる方には選択肢になります。
もう少し手前から入りたい場合は、J.S.A.が実施するSAKE検定という選択もあります。日本酒検定と同様にテイスティングを伴わない知識の検定で、日本酒の基礎を確認する用途に向きます。
どの上位資格も、入口の資格を取ってから考えれば間に合います。最初の1つを決める段階で上位まで見通す必要はありません。
SAKE DIPLOMAを選ぶ場合の次の一歩
SAKE DIPLOMAは独学で受験できる設計ですが、その分だけ学習の設計を自分で組む必要があります。試験範囲は日本酒の歴史・醸造・品質管理から焼酎、ラベル表示のルールまで広く、教本を読むだけでは問題に手が止まりやすい。
酒学道場では約2,000問の演習問題と、CBT本番と同じ形式の模擬試験を用意しています。無料プランでも100問を試せるので、教本を買う前に出題の感触を確かめる使い方もできます。
試験の全体像は【2026年版】酒ディプロマ一次試験に受かる勉強法、二次試験のテイスティング対策は酒ディプロマ二次試験テイスティング対策にまとめました。取得後のキャリアへの活かし方は酒ディプロマ取得のメリットで扱っています。
よくある質問
よくある質問
Q. 唎酒師とSAKE DIPLOMAは両方取る意味がありますか?
A. 学ぶ内容には重なりがあるため、知識の証明という目的なら片方で足ります。両方取る方がいるのは、SSIとJ.S.A.それぞれのコミュニティや上位資格への接続を目的とする場合です。費用は単純に足し算になります。
Q. 唎酒師の年会費を払わないとどうなりますか?
A. 認定の維持ができなくなります。名刺や職務経歴書に書き続けるつもりなら、年会費は取得後も継続的にかかる費用として計算に入れておいてください。
Q. 日本酒検定に合格すれば唎酒師の試験が免除されますか?
A. 免除はありません。日本酒検定は知識の指標として独立した検定で、唎酒師の認定にはコースの受講が必要です。ただし検定で身につけた知識はそのまま活かせます。
Q. SAKE DIPLOMAの一次試験は2回受けられると聞きました。
A. 出願時に一次試験の受験回数を1回か2回で選べます。一般の場合、1回なら32,900円、2回なら37,800円です。1回目で不合格でも期間内に再挑戦できる仕組みですが、追加費用がかかるため、1回で通す前提の準備が理想です。
まとめ|難易度で迷う前に、費用構造を見る
日本酒の資格は、難易度の差より費用の設計の差のほうが大きい。SAKE DIPLOMAは5年で53,850円、唎酒師は191,400円。同じ「日本酒のソムリエ」と呼ばれる2つの資格の間に、3.5倍の開きがあります。
まず自分が講習にお金を払って時間を買いたいのか、独学に時間を使って費用を抑えたいのか。そこを決めてしまえば、選ぶべき資格は自動的に絞られます。テイスティングをまだ試したくないなら、4,650円の日本酒検定3級から始めるのも十分に理にかなった入り方です。
参考文献・情報源
- 一般社団法人日本ソムリエ協会「J.S.A. SAKE DIPLOMA認定試験」(受験資格・受験料・認定登録料・試験構成)
- 日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)「唎酒師 6つのコース」(受講料・認定諸費用・年会費)
- 日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)「公式サイト」(認定資格の体系・日本酒検定の級位構成)
- 酒学道場「酒ディプロマとは|2026年最新試験概要・難易度・合格率」(年度別合格率・学習時間の目安)
📝 更新履歴
- 2026年8月10日:初版公開。2026年度の受験料・認定登録料および2024年度合格率を反映
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