日本酒の資格を比較|唎酒師・SAKE DIPLOMA・日本酒検定の内容と費用
この記事の結論
- 日本酒の資格は主催団体で2系統。SSI系(唎酒師・日本酒検定など)とJ.S.A.系(SAKE DIPLOMA)
- 選ぶ基準は難易度より費用の構造。唎酒師は年会費15,400円が毎年発生し、SAKE DIPLOMAは更新費用なし
- 5年総額はSAKE DIPLOMA約5.4万円、唎酒師約19万円、日本酒検定3級7,100円
- 公表されている最終合格率はSAKE DIPLOMAが38.7%(2024年度)
- 「日本酒ソムリエ」という単一の資格名はなく、唎酒師とSAKE DIPLOMAがその役割を担う
- テイスティングを避けるなら日本酒検定、仕事で生かすなら唎酒師かSAKE DIPLOMA
この記事を監修
平沼柊哉
酒学道場 代表・J.S.A.正会員
日本酒の資格選びで最も大きな違いが出るのは、取得後に毎年お金がかかるかどうかです。同じ「日本酒の専門資格」に見える唎酒師とSAKE DIPLOMAでも、5年間の維持費まで合算すると十数万円の差が生まれます。
この記事の対象読者
- 日本酒の資格を取りたいが、どれを選べばいいか決めきれていない方
- 唎酒師とSAKE DIPLOMAの違いを、費用まで含めて把握したい方
- テイスティングなしで知識を証明できる資格を探している方
日本酒の資格は主催団体で2つの系統に分かれる
主要な日本酒資格は、認定している団体の性質によって大きく2つに分かれます。

SSI(日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会) は、唎酒師を中心に据えた団体です。唎酒師の有資格者は40,000名を超え、資格者数としては最大規模を持ちます。上位に酒匠、指導者向けに日本酒学講師、知識指標として日本酒検定を置く構成です。
J.S.A.(一般社団法人日本ソムリエ協会) は、ワインのソムリエ試験を運営してきた団体です。2017年に日本酒・焼酎の呼称資格としてSAKE DIPLOMAを新設しました。一次試験のCBT方式や二次試験のテイスティング審査など、ソムリエ試験で培われた運用形式が導入されています。
SSIは講習を受けて認定に至るコース制を中心とした教育型、J.S.A.は独学でも受験できる試験型の設計です。この設計の違いが、受験料や取得後の維持費の差にそのままつながっています。
主要4資格の比較
| 項目 | SAKE DIPLOMA | 唎酒師 | 日本酒検定3級 | 酒匠 |
|---|---|---|---|---|
| 主催 | J.S.A. | SSI | SSI | SSI |
| 受験資格 | 20歳以上 | 20歳以上 | 20歳以上 | 唎酒師など有資格者 |
| 講習の受講 | 不要 | 必須(コース制) | 不要 | 必須 |
| テイスティング | あり | あり | なし | あり(高度) |
| 初年度費用の目安 | 約53,850円 | 約129,800円〜 | 7,100円 | 約20万円〜 |
| 2年目以降 | なし | 年15,400円 | なし | 年15,400円 |
| 合格率 | 38.7%(2024年度) | 非公表 | 非公表 | 非公表 |
金額はいずれも税込です。SAKE DIPLOMAは一般(非会員)が一次試験を1回受験する場合の費用で、受験料32,900円と認定登録料20,950円を足した53,850円となります。唎酒師はeラーニングコースを選んだ場合の目安です。
費用は5年間の累計額で比較する
以下は団体へ支払う費用の比較例です。教材・講習を含む範囲は資格ごとに異なります。練習用酒類や交通費なども別に見込んでください。日本酒検定3級はCBT7,100円、会場受検6,000円です(2026年9月17日確認)。

| 資格名 | 初年度 | 取得年度を含む5年間の累計 |
|---|---|---|
| SAKE DIPLOMA(一般) | 53,850円 | 53,850円 |
| 唎酒師(eラーニング) | 129,800円 | 191,400円 |
| 日本酒検定3級(CBT) | 7,100円 | 7,100円 |
費用の差が開く原因は年会費です。唎酒師はSSIの会員資格と認定が連動しているため、資格を維持する期間は毎年15,400円の年会費を支払う必要があります。初年度を除いた4年分で61,600円が加算されます。
一方のSAKE DIPLOMAは、合格時に認定登録料を納めれば資格が維持され、更新費用や協会の年会費義務はありません。唎酒師のコース費用には教材や指導が含まれます。SAKE DIPLOMAの補助教材・練習用酒類・交通費などは別途必要で、費用に含む範囲は同一ではありません。
内訳を確認すると、唎酒師の初期費用は受講料と認定諸費用で構成されています。受講料はコースによって59,400円から99,000円まで幅があり、これに一律の認定諸費用60,500円(認定料25,300円、入会金19,800円、初年度年会費15,400円)が加わります。合計すると約12万〜16万円です。
SAKE DIPLOMAは受験料が一般32,900円(一次1回の場合。J.S.A.会員は23,700円、一次2回受験は一般37,800円・会員28,600円)で、合格後に認定登録料20,950円を支払います。
唎酒師の受講料には教材や指導講習が含まれているため、手厚い学習環境を費用で整える形式といえます。独学で自ら計画を立てて進めたいならSAKE DIPLOMA、整理された講習教材を活用して着実に進めたいなら唎酒師という判断が成り立ちます。
「日本酒ソムリエ」は実在する資格名ではない
「日本酒ソムリエ」という単一の公的・民間資格は存在しません。その呼称で探している場合、目的に合致するのは唎酒師かSAKE DIPLOMAの2つです。

SSIは唎酒師を「日本酒のソムリエ」にあたる専門資格として位置づけて紹介しています。一方でソムリエ試験を主催するJ.S.A.が立ち上げたSAKE DIPLOMAも、ワイン分野での実績から「日本酒のソムリエ資格」として認知される場面があります。
どちらを取得しても日本酒の専門知識とテイスティング力を対外的に示せます。資格の通称に惑わされず、維持費用の違いや試験形式に目を向けて選ぶのが現実的です。
合格率が公表されているのはSAKE DIPLOMAのみ
受験者層と認定方法が異なる資格を、合格率だけで順位づけることはできません。

| 年度 | 最終合格率(出典:J.S.A.公式データ) |
|---|---|
| 2020年度 | 44.2% |
| 2021年度 | 44.4% |
| 2022年度 | 42.7% |
| 2023年度 | 35.2% |
| 2024年度 | 38.7% |
2025年度の最終合格率は31.1%でした。試験は知識を問う一次(CBT方式、60分100問)と、テイスティング(30分)および論述(20分)を課す二次で構成されます。一次試験に合格した場合は、翌5年間のうち3回まで一次試験が免除される仕組みです。
唎酒師の合格率は公表されていません。試験のみを受けるコースのほか、講習の課題提出を通じて認定に進む履修型のコースが用意されており、受講内容を着実にこなすことで修了を目指す性格を持ちます。一発勝負の検定試験とは設計思想が異なります。
日本酒検定は級ごとに合格基準が明示されています。正答率の基準は3級から5級が70%以上、2級が75%以上、準1級が80%以上、1級が85%以上です。5級と4級はオンラインで随時受験可能、3級と2級はCBT方式で通年受験できます。2級以上の受験には直前下位級の合格が必要です。
目的から逆算する選び方
資格の使い道と投じられる学習環境によって、適した選択肢は分かれます。

飲食店や酒販店などの業務で名刺に記載し、接客や仕入れに生かしたい場合は唎酒師かSAKE DIPLOMAが候補になります。勤務先の補助制度があるなら受講サポートが手厚い唎酒師が使いやすく、個人で費用を負担し維持費を抑えたいならSAKE DIPLOMAが適しています。
自力で教本を読み込み、マイペースに知識を身につけたい方にもSAKE DIPLOMAが向いています。講習日程に拘束されず、公式教本と問題演習を軸に学習スケジュールを組めるためです。
テイスティングの実技審査を避け、純粋に日本酒の基礎知識を試したい場合は日本酒検定3級が手軽です。7,100円でCBT受験ができ、20歳以上なら前提資格なしで挑戦できます。検定を通じて手応えを得てから上位資格を検討するのも無理のない進め方です。
上位資格とその他の選択肢
基礎となる資格を取得した先には、専門性を深める上位制度も用意されています。
SSI系では、唎酒師の上位に酒匠(さかしょう)が設定されています。テイスティング技術の深化に特化した資格で、唎酒師などの有資格者であることが受講要件です。受講・認定費用は20万円台からとなっています。教育活動やセミナー登壇を目指す資格としては日本酒学講師(2024年5月末時点の認定者625名)が存在します。
J.S.A.系では、SAKE DIPLOMAの上位呼称としてSAKE DIPLOMA EXCELLENCEが設けられています。また、英語で出題される国際資格としてSAKE DIPLOMA INTERNATIONALがあり、海外向けの流通やインバウンド業務に関わる実務者に対応しています。
手軽に基礎を確認したい場合は、J.S.A.が主催するSAKE検定も選べます。日本酒検定と同じくテイスティング審査のない入門編です。
上位資格は、いずれも最初の基礎資格を取得した後に必要に応じて検討すれば問題ありません。
SAKE DIPLOMAを受験する場合の学習手順
SAKE DIPLOMAは独学で合格を目指せる一方、試験範囲の管理が不可欠です。酒米の品種特性、酵母や製法、酒税法や表示基準、焼酎の製造工程まで出題分野が多岐にわたるため、教本の通読だけでなく早い段階からの問題演習が求められます。
酒学道場では約2,000問の演習問題と、CBT本番と同じ画面構成の模擬試験を提供しています。無料登録で100問の演習を試せるため、教本の学習と並行して理解度の確認に活用できます。
学習計画の全体像は【2026年版】酒ディプロマ一次試験に受かる勉強法、テイスティングの準備手順は酒ディプロマ二次試験テイスティング対策、実務での活用例は酒ディプロマ取得のメリットを参考にしてください。
よくある質問
「日本酒ソムリエ」という資格はありますか?
その名称の単一資格は存在しません。日本酒の知識やテイスティング能力を認定する代表的な資格として実在するのは、SSIの唎酒師(ききさけし)と、日本ソムリエ協会(J.S.A.)のSAKE DIPLOMAです。「日本酒ソムリエ」は主にこの2つを指す通称として使われています。
日本酒の資格でいちばん難しいのはどれですか?
受験者層や認定方法が異なるため、合格率だけで難易度を順位づけることはできません。SAKE DIPLOMAには知識試験とテイスティング・論述の準備が必要です。
唎酒師とSAKE DIPLOMAはどちらが安いですか?
SAKE DIPLOMAです。一般受験なら受験料32,900円(一次1回)と認定登録料20,950円で、初年度は約5.4万円(合計53,850円)となり、更新費用はかかりません。唎酒師は受講料と認定諸費用で初年度約13万円、さらに2年目以降も年会費15,400円が発生します。費用に含まれる教材や指導の範囲は異なり、練習用酒類や交通費も別途必要です。
テイスティングが苦手でも取れる資格はありますか?
日本酒検定にはテイスティングがなく、知識問題だけで受験できます。3級はCBT方式で7,100円、20歳以上であれば誰でも受験可能です。唎酒師とSAKE DIPLOMAはどちらもテイスティング審査が含まれます。
履歴書に書けるのはどれですか?
いずれも民間資格ですが、唎酒師とSAKE DIPLOMAは業界内での認知度が高く、飲食・酒類流通の職務経歴書で評価の対象になります。日本酒検定は知識レベルを証明する指標としての位置づけで、愛好家が腕試しとして取得するケースも多い資格です。
費用構造の違いを押さえて資格を決める
学びたい内容と学習方法を確認したうえで、取得後の年会費も含めて比較しましょう。SAKE DIPLOMAは一般1回受験と認定登録料の合計53,850円で更新費用の発生はありません。唎酒師は初年度に約13万円がかかり、維持のために毎年15,400円の年会費が積み重なって5年総額は約19万円に達します。
講習教材を活用して着実に認定へ進みたいなら唎酒師、独学で試験に挑み維持コストを抑えたいならSAKE DIPLOMAが適した選択になります。実技審査なしで基礎力を確かめたい場合は、7,100円で受験できる日本酒検定3級から着手するのが合理的です。
参考文献・情報源
- 一般社団法人日本ソムリエ協会「J.S.A. SAKE DIPLOMA認定試験」(受験資格・受験料・認定登録料・試験構成)
- 日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)「唎酒師 6つのコース」(受講料・認定諸費用・年会費)
- 日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)「公式サイト」(認定資格の体系・日本酒検定の級位構成)
- 酒学道場「酒ディプロマとは|2026年最新試験概要・難易度・合格率」(年度別合格率・学習時間の目安)
📝 更新履歴
- 2026年8月10日:初版公開。2026年度の受験料・認定登録料および2024年度合格率を反映
- 2026年9月17日:本文と関連情報を見直し、説明を整理
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